Ⅱサムエル17:14~20 サムエル記㊽「主が助言を打ち破ろうと定めて」
周到に準備したアブサロムの計画は順調に進んでいるかに見えたが、ここから逆転していく。「主がアブサロムに災いをもたらそうとして、主がアヒトフェルの優れた助言を打ち破ろうと定めておられたからである」(14節)。「人の心には多くの思いがある。しかし、主の計画こそが実現する」(箴言19:21)。主の働きを見る。
1.フシャイの助言を用いる:「アヒトフェルの進言した助言は良くありません。」(7)
・アヒトフェルの助言(1~4節)*ダビデを裏切った参謀
ダビデの一行が疲れている今夜の内に、夜襲を仕掛けてダビデのみを討つ
「アブサロムと全長老の気に入るところとなった」(4節)
・フシャイの助言(5~14節)*ダビデの古き友人、参謀として送り込まれる
ダビデたちは勇士。兵を数多く集め、アブサロムが軍を率いて全滅させればよい
2.アブサロムと長老たちの心に働きかける
・「フシャイを呼び出し、彼の言うことも聞いてみよう」(5節)
アヒトフェルの助言を気に入ったが、年長者のフシャイの助言も聞こうとした
・「フシャイの助言はアヒトフェルの助言よりも良い」(14節)
プライドをくすぐる作戦:夜襲よりも、白昼、大軍を率いて華々しく全滅する
敵の心に神が働き、選択を左右する
・アヒトフェルはアブサロムが敗北し、自分の命もないことを確信して自殺する
3.密使たちを危機から守り、用いられる(15~20節)
・フシャイ→祭司→一人の女奴隷→祭司の息子達→バフリム人の妻の機転→ダビデ
ある若者に見つかり危機を迎えても、神の側にいる者を神が守られる
・神の計画は無名な人も含め、様々な人の働きにより進められる
4.ダビデに時が与えられる(15~20節)
・夜明けまでにヨルダン川を渡り切る
・ダビデの一行に食糧の支援が与えられる
支援者の好意に励まされ、疲れも気力も回復する
(結論)ダビデの「主よ、どうかアヒトフェルの助言を愚かなものにしてください」(15:21)の祈りがこのような形で答えられた。どんなに人の計画が万全であるかに見えても、神の計画が実現する。反対に、どんなに不利に見えても、神の御心にかない、神が味方であるならば、守られ、勝利する。
Ⅱサムエル16:5~14 サムエル記㊼ 「呪いに代えて、私に良いことを」
逃亡中のダビデの周囲は、裏切る者も従う者もいた。人の思いは変わりやすいが、神への信頼はいよいよ強まっていく。16章でもツィバの支援の一方で、シムイの呪いがある。ダビデのシムイへの対応から学ぶ。
1.シムイの呪い(5~8節):石を投げ、盛んに呪いの言葉を吐く
・理由:「主がサウルの家のすべての血に報いたのだ」(8節)
今のダビデの災いはサウル一族を殺した報いだと
弱い立場になったダビデに、この時とばかり恨みと怒りをぶつけた
・事実:ダビデはサウル家の人を殺していない→そのために細心の注意を払った
「主に油注がれた方」に手を下さなかった
サウルを殺したと報告した者を処刑し、サウルとヨナタンの死を嘆いた
イシュ・ボシェテを暗殺した者たちも処刑し、サウルの子を丁重に埋葬
主は息子アブサロムの手に王位を渡したわけではない
・教訓:詳しい事情も知らずに「よこしまな者」と決めつけてはならない
災いに遭っている人を神の裁きだと考えてはならない
2.ダビデの寛容(9~11節)
・姿勢:「放っておきなさい」(11節)→報復もせず、やめさせもせず、弁解もせず
・理由:「このベニヤミン人としては、なおさらのことだ」→相手の立場で考える
「主が彼に命じられたのだから」→神の御許しの中のことと受け止める
「血まみれの男」(7節)と言われても仕方のない者である→ウリヤを殺した
赦された罪人に過ぎない→ダビデの悔い改めの深さ
3.ダビデの神への信頼(12節)
・「主は私の心をご覧になるだろう」:人に誤解されても神は全てをご存知
真実に歩んで来た
罪は心から悔い改め、赦された→罪は取り除かれている
今は神の前に心責められるところはない
・「主は今日の彼の呪いに代えて、私に良いことをもって報いてくださるだろう」
人が呪い、裁いても、神が正しく裁かれる
今は試練の中でも、必ず善に代えてくださる
(結論)月末に受難週を迎える。イエスも「罵られても罵り返さず…正しく裁かれる方にお任せになった」(Ⅰペテロ2:23)。私たちも、罵られたり誤解されたりしても、イエスに倣い、ダビデに倣って、神に信頼して神に委ねよう。